たった3人の野球部…始球式で終わる「夏」
11日に開幕する夏の高校野球秋田県大会で、開幕戦の始球式にだけ出場するチームがある。 野球部員がマネジャー含め3年生3人だけの県立米内沢高校(北秋田市米内沢)だ。新チーム結成から1年間、一度も試合ができなかったが、「毎日練習してきた努力をたたえたい」という県高校野球連盟の特例措置で、高校最後の大舞台が用意された。
米内沢は昨夏の初戦、4強入りした新屋高校と対戦し、柔道部とバドミントン部から1人ずつ借りた11人で、敗れはしたが4対6の接戦を演じてみせたのだ。しかし、その試合を最後に先輩6人が引退し、同級生1人も野球部を去り、2人だけになってしまったのだ。
そんな彼らに今年春、近隣校と合同チームを組んで試合をする話が持ち上がる。鈴木さんは「目標を持って練習ができるし、成果も発揮できる」と2人に参加を呼びかけたのだ。しかし彼らは、「先輩と築き上げてきた米高の野球をやり遂げたい」と、あくまで単独チームにこだわったのだ。
「ナイスボール」。米内沢高校の野球場に柴田高徳選手(18)の甲高い声が響く。マウンドに登った吉田一樹選手(18)は、時折笑みを浮かべながら、柴田選手が構えるミットへ速球を投げ込む。大会の開幕を告げるボールを投げた瞬間、3人の高校野球生活は終わった。それをバックネット裏で見つめていたマネジャーの鈴木このみさん(17)は、「一樹の全力投球を高徳が受け取る。その姿を見るだけで満足」とはにかんだ。
鈴木さんは「主役の一樹と高徳に楽しくプレーさせるのが私の役割」と言い、誰もいない球場で草取りをしたり、カロリー計算をしながら、おにぎりやサンドイッチを調理室で作ったりと裏方からチームを支えてきたのだ。籾山英輝監督(31)曰く、「2人が腐らずに済んだのは、このみの存在が大きい」と語る。
「一体感が得られ、充実した3年間でした。きっと、一樹も高徳も」。2人を見ながら、鈴木さんはそうつぶやいたのです。
(7月10日7時17分:読売新聞)
暗いニュースが多い中、久し振りに心温まる話でした。彼らは誇りを持ってこの経験を思い出にしていく事でしょう。3人の未来に幸あれ!
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